Archive for 2012年10月2日
JavaOne 2012 ストラテジー・キーノート (Day 0)
今年の JavaOne は過去の JavaOne と違い、多くの開発者の皆様により多くセッションを受講して頂きたいとの主催者側の計らいにより、初日にストラテジー・キーノートとテクニカル・キーノートを同時に Masonic Auditorium というホールで開催した。
キーノートは、Hassan Risvi の登壇から始まった、Hassan は今年の JavaOne のテーマである “MAKE THE FUTURE JAVA” を紹介した。
* プラットフォームの完全性
* 近代化とイノベーション
* 開発生産性
* オープンで透明性のある進化
* コミュニティ活動への参加
* 品質とセキュリティ
次に Java の現状と今後の戦略とビジョンとして、それぞれ Java SE, JavaFX/Client, Java EE, Java ME, Java Card, NetBeansについて語った。
そして、今年1年間の Java の活動に対し下記の3点についての自己評価を行った。
* 技術革新
* コミュニティへの参加
* オラクルのリーダ・シップ
* 技術確認においては
Java SE :
Mac OS X と Linux ARM のサポート
300 以上の拡張によって 7 つのアップデートを提供
JavaFX :
JavaFX 2.2 を Windows, Mac OS X, Linux 環境に提供
JavaFX 1.0 SceneBuilder を Windows, Mac OS X 環境に提供
JavaFX のオープンソース化、コミュニティに対する新しい機会を提供
JavaME/Embedded :
Java Embedded Suite を提供開始、組み込み分野におけるミドルウェアの提供
Java ME Embedded を提供開始、マイクロコントローラで稼働する Java 用として
CY2013(カレンダー・イヤー) で Java ME/SE 同調
Java ME 8 用の JSR の提出を JCP で準備中
Java EE :
GlassFish の2つのバージョンを提供開始
Java EE 7 仕様の再校正を実施
Java EE 7 と共に HTML 5 アプリケーションの簡易化
コミュニティ分野において
OpenJDK :
新しいプロジェクトを開始(Penrose, OpenJFX, PwerPC/AIX ポーティング、Sumatra GPUのサポート)ガバナンスの更新:Andrew Haley の選任と Doug Lea の再任 OpenJDK に対する新たな 68 名の貢献者の追加:CBOE, SUSE, Taobao を含む多数の熟練した貢献者
JCP :
JCP.next : 今まで以上の透明性、2つの EC の統合、JSPA の改訂
JSR プログラム開始の適用(ロンドン Java コミュニティ、SouJava による)
2011 年の JavaOne から 21 の JSR を開始
JUG:
25% 増加(世界中の JUG 157->197)
20+ 新規 JUG の追加(年間)
36% 増加 JUG への訪問 (50->68)
オラクルのリーダシップ
継続的な投資:
Oracle の投資の継続と増加
世界中で 4カ国の JavaOne を開催し 5000 名以上の参加
コミュニティの支援活動:
Java マガジンの提供開始:1年間で12万人の購読
17% の増加:Java Developers Days (46->54)
エバンジェリスト活動 50万人以上の開発者と接触
評価:
17% 増加:java.net 登録者の増加(70万人→82万人)
8% 増加:NetBeans の活発な利用者数 (110万人->122万人)
Hassan に続いて登壇した、Java SE の開発 VP であるGeorge SaaB は過去 10 年間と比較して JDK 7 の登場で様々な環境で Java が利用可能になった事を紹介し OpenJDK の活動についても紹介した。彼は、今回、新たに Project Nashorn をOpenJDK プロジェクトに組み込みOpenJDK の元で JavaScript のエンジンを開発する事を発表した。
Nashorn は、新たな JavaScript のエンジンで、Java SE 7 で組み込まれた、新しいバイトコード命令 InvokeDynamic の利点を生かして作られ、JavaVM 上で稼働するハイパフォーマンスな
JavaScript エンジンとして知られている。現在、すでに、IBM, Redhat, Twitter 等が Project Nashorn のOpenJDK での開発に対してサポートする事を表明している。
続いて、Nandini Ramani は JavaFX が現在全てのメジャーなプラットフォームで利用可能になっている事を紹介し、NetBeans 7.2 で SceneBuilder を統合しより開発がしやすくなって点を紹介した。
また、JavaFX が現在 Java SE 7 にバンドルされており今すぐ利用可能な点を紹介すると共に、今回の JavaOne に併せて、Linux ARM 環境で JavaFX が利用可能になった事を発表した。
今後 JavaFX で 3D も取り扱えるようになり、今年の年末までには完全に JavaFX をオープンソースかする事も発表した。
続いて、Java ME に関するアップデートも行った。今回の JavaOne に併せて2つの新しい組み込み用途の製品の提供開始を発表した。一つは、Java ME Embedded 3.2 でもう一つは Java Embedded Suite 7.0 である。この中で、GlassFish for Embedded も組み込まれ、デバイスの管理を行うために、最適化さいれた GlassFish を組み込み、デバイスの管理に JAX-RS などの技術を利用できるようになるという画期的な物であった。エンタープライズの分野で培われた技術が組み込みデバイスにまで応用されるようになったのはとても興味深い。
Nandini に代わって、Cameron Purdy が登壇した。Cameron は、Java EE がフォーカスする点と今後の方向性について紹介した。
* 標準化:エンタープライズアプリケーションの開発のため
* 生産性:エンタープライズの開発者のため
* 移植性:ベンダー/クラウド環境に非依存
* 拡張性:イノベーションの取り込み
* モジュール化:モジュール化対応のサポート
最新の GlassFish (v4.0) をダウンロードする事によって、Java EE 7 SDK のアーリ・アクセス版が利用可能になった事を発表した。また、HTML5 対応が含まれている事も発表した。
Cameron Purdy は Java EE 7 の提供は 2013 年の 4 月に行われる点も発表した。
さらに、Java EE 7 の計画変更に対する市場からのフィードバックも紹介し、Apache, redhat 等が今回の延期に対して同意し、エンタープライズ分野におけるクラウドの標準化を行うためには、
もう少し時間が必要である事を紹介した。
また、Java EE に対する標準化はまだ行われていないが、JPA の参照実装である EclipseLink において NoSQL を扱う事ができるようになっており、MongoDB や Oracle NoSQL を現在サポートしている点、また近い将来に Cassandra 等ほかの NoSQL に対してもサポートする点を紹介した。
最後に、まとめとして、Java EE の過去、現在、将来についてまとめた。Java EE 7 のテーマは、”Simplicity(簡易化)と HTML5 対応” で既存技術に対するメジャーな更新、新しい仕様の組み込み、さらには HTML 5 対応の機能を組こんで提供する事を発表した。
Java EE の採用事例として、ナイキの Nicole Otto を壇上に招き入れた。彼女はナイキにおける Java EE の採用とどういった分野で使われているのかを説明し、データのトラッキングの分野で採用されている点、パフォーマンスの向上の点等を紹介した。
最後に、Cameron は Java EE 8 とその先と題して、Java EE 8 においてクラウド環境におけるプログラミングモデルの標準化を提供し、クラウドのアーキテクチャ、SaaS アプリケーションにおけるマルチテナンシー、JSR の追加等を紹介した。
また、Java SE 9 で組み込まれる Project Jigsaw のモジュール化にも将来的に対応していく事を紹介した。
JavaOne 2012 Community Event (Day 0)
日付が代わり、9月30日(日)より JavaOne 本格的に始まった。
今年の JavaOne の会場は基本的に、ヒルトンホテル、ホテル日航、Parc 55 の 3カ所で開催されているが、Day 0 はモスコーンセンターで開催され、午前、午後を通じ Java のコミュニティ関連のイベント
(OpenJDK, NetBeans, GlassFish 等)が行われた。
GlassFish のイベントにおいても最新のロードマップが公開され2013 年の 4月頃を目処に Java EE 7 の SDK を提供開始し、その後、数ヶ月をおいて製品版でリリースする事が発表された。また、GlassFish のコミュニティセッションでは、GlassFish の製品マネージャ、Mike , John, また、開発 VP の Cameron, Ajay といった日本でもなじみのある顔ぶれが壇上にならび、GlassFish コミュニティの参加者からの質問に対して如何なる質問にも答えていった。
* 今日の夜の基調講演のホットな話題を教えて!!
* WebLogic と GlassFish のすみわけなど良くある質問
* Project Avatar に関する詳細
などかなりホットなディスカッションが行われた。
また、このイベントに参加した人だけがもらえる GlassFIsh の新しい T シャツも参加者に配られた。
JavaOne 2012 Geek Bike Ride (Day -1)
JavaOne は開発者コミュニティの祭典である事から、Java の開発者を喜ばせる数多くの催し物が開催されている。JavaOne の本番開催に先駆けて 9月29日(土)に “Geek Bike Ride” というイベントがあった。世界中から JavaOne の為に集まった開発者の中で希望者が集まり、フィッシャーマンズ・ワーフからゴールデンゲート・ブリッジを自転車で渡り、Saulsalito という場所までサイクリングして
帰ってくるというイベントだった。
参加者には OTN のはからいによって Duke の絵があしらわれた T シャツが配られ全員がその Tシャツを着てサイクリングを楽しみまた交流を行った。土曜日は快晴ではなかったが、39 名のライダーと1名のスケートボーダが参加し Java Geek な人たちとの交流を楽しんだ。