JavaOne 2011 Day 2 Java 戦略キーノート
2011年10月5日 at 10:59 午後 1件のコメント
「JavaOne 2011 2日目: Java 戦略キーノート」
今日から JavaOne 2 日目の開催で Java Strategy(戦略) キーノートが開催しました。このキーノートでは、今後の Oracle の Java に対する方向性、また今後提供される製品に含まれる様々な技術、また新しくパートナーもしくは JCP の EC に選出された方など非常に内容が豊富で開発者をわくわくさせるアナウンスが多くありました。
まず最初は、 Diamond スポンサーの1社である Juniper Networks 社の CTO である David Ward 氏による “how programmable networking is critical to application development (プログラム可能なネットワークはアプリケーション開発にとって重要なのか?)” という発表から始まりました。彼は、現在クラウドが全盛の世の中で “ソフトウェアで定義したネットワーク(software-defined network) “をプログラミングできることを開発者は認識し、活用すべきだという内容を紹介していました。
続いて、Hassan Rizyi (Senior Vice President, Oracle Fusion Middleware) が壇上にあがりました。
Hassan は Java が今後も前に向かって進むための3本柱を紹介しました。
● コミュニティ
● 提供する技術
● Oracle の Java に対するリーダシップと管理
Hassan はこれらの紹介中に、直近の Java の各技術 (Java SE 7, Java EE 7, JavaFX 2.0, Java ME)における活動に対するスコアカード(成績表)を提供しました。この中で JavaFX 2.0 は今年の JavaOne 期間中に提供した他、それ以外の技術もそれなりに良い結果を出した事を示しています。例えば Java SE 7 は今年 7 月 28 日に予定通り提供した他、Java SE 8 も JSR が登録され対応中である事、着実に前に進んでいる事がこれらのチェック項目から分かります。この中で本日赤文字で記されている Mac OS X 上 の JDK 7 開発者プレビュー版の提供を正式にアナウンスしました。
Mac OS X における JDK 7 の開発者プレビュー版を正式発表
その後、Hassan は下記の3名を壇上に迎えました。
IBM Jason Gartner 氏
RedHat Dr. Mark Little 氏
Intel Steven Chin 氏
ここで、IBM の Gartner 氏は IBM の環境上で動作する新しい Java SE 7 を先週提供した事を発表しました。その他、Intel のハードウェアプラットフォームではこの4年間で Java のパフォーマンスが 14 倍も向上した事等も伝えられました。
Hassan に続いて壇上にあがったのは昨日も登壇した Adam Messinger でした。
Adam Messinger は新しいアプリケーションモデルや新しい機器の上で Java が動作する
よう動作環境が拡大していくのが自分の役目である事を述べました。
そしてこれらを実現するための重要な要素が Java SE 8 で提供されるモジュール化の昨日である事を伝えました。一方で Java SE 7 で提供された Project Coin や Java SE 8 で提供される Lambda 式は開発者の開発生産性を向上する技術である事を述べています。
続いて、Adam は Twitter 社の Rob Benson 氏を壇上に迎えました。Rod 氏は Twitter 社のトラフィックを次のように紹介しました。
● 2 億 3000 万リクエスト/日
● ストリーミング API で 約 6 テラバイトのデータを配信/日
● パブリック API 13 億リクエスト/日
そして、これらの処理を実行できる環境が現在だけではなく将来に渡っても必要だった事を延べました。また、 Java を選んだ理由として複数の言語 (Scala, Clojure) をサポートしていたからだとも述べました。さらには強力で巨大なオープンソースコミュニティを持つ事なども理由として挙げました。最後に、Twitter 社は OpenJDK コミュニティに参加し、JCP のメンバーとしても活動する事を発表しました。
Twitter 社 JCP の EC メンバーに!!
続いて、Adam は JavaFX の今後の重要性を改めて発表しました。今後のリッチクライアントアプリケーションの開発のメインは JavaFX で行って頂くことを延べ、既存の Swing アプリケーションとの連携についても述べました。またビジュアル開発が可能な JavaFX Scene Builder 等も紹介しました。その後、Adam は同僚である Nandini を壇上に迎え様々なモバイル機器上で動作する JavaFX のゲームのプロトタイプをデモしました。
ここで多くの開発者の注目を浴びたのは、Nandini が Apple の iPad 上で JavaFX の
ゲームを動作させた事です。今まで iOS 上のアプリケーションは Objective-C で開発
する必要がありましたが、JavaFX を使って iPad アプリケーションを今後作成できる
ようになる日がやってくるかもしれません。
最後に、Adam は重大な発表を行いました。今までクローズドで開発していた JavaFX を最初はコンポーネントからオープンソース化し、将来的にはフレームワークもオープンソース化する事を発表しました。また OpenJDK コミュニティの承認が得られた後、JavaFX を標準化し Java SE の一部として使えるようにする計画がある (JavaFX 3.0) 事も発表しました (Java SE 8 以降の予定)。これにより、今後 JavaFX は今まで以上に重要性を増し、Java の標準リッチクライアントアプリケーションを作成するための技術として使われるようになる事でしょう。
リッチクライアントにご興味のある方は、つい先日アナウンスされたばかりの JavaFX 2.0 を使っていまから JavaFX の世界に足を踏み入れましょう。
続いては Mobile & Embedded です(ところで、最近Java MEよりJava Mobile & Embeddedとカテゴライズする事がありますが、Embeddedの中にSE EmbeddedとCDCが含まれるためです)。Mobileでは、Java ME/CLDCがJava SEに同期する、つまり次のバージョンはJava ME 7/8となる事が発表されています。もちろんメジャーバージョン番号だけでなく、SE 7の言語拡張をMEへ、MEのAPIをSEでも、という同期が予定されるようです。一方、Embeddedでは、ようやくCDCとJava SEがJava SE 8で統合される事が発表されました。Java SE 8のモジュール化実装に基づき、組込みデバイス向けにサブセットしたCDC Profileが用意されていきます。さらに、なんとJavaFXをCDC Profileの標準GUIとして採用する方針とのこと、JavaFX Mobile、JavaFX TVがJavaFX 2.0で打ち切らましたが、これは組込み開発者にとってはとても嬉しいニュースです。ゲストには、SE EmbeddedやOJECの強力なパートナーARMのVPであるLance Howarthや、Feature Phone (Java Mobile)向けにもアプリを配布するGetjarのCEOのIIja Laursがスピーチを行いました。
戦略キーノート後のJava ME (こちらはMobile & EmbeddedにCardも含まれてます)に関するプレスリリースでは、Java ME 7(CLDC)を新しいJSRとしてJCP内で広く議論していくとのアナウンスも出ています。
http://www.oracle.com/us/corporate/press/512685
モバイル系の話の後、Cameron Purdy による Java EE のロードマップの紹介がありました。Purdy は始めに “エンタープライズアプリケーションの標準開発プラットフォームは” Java EE だけで、Java EE はコミュニティ、複数ベンダ、オープンソース
プロジェクトを通じて入手した技術であると述べました。また、彼は世界中のエンタープライズ開発の中で現在、”ナンバー1”の選択肢であり、4000 万以上のダウンロード数がある事も付け加えました。また、今後 java EE プラットフォームは PaaS 環境における標準になるであろうとも述べました。
● 次期 JPA (EclipseLink) のマルチテナンシー対応
● Caching API
● JSON サポート
● REST サポート
続いて、Cameron は ESPN の Sean Comerford 氏を壇上に迎え、ESPN においてプロプラエタリティのコンテナからオープンソースのコンテナに移行した話をした彼らは実際 GlassFish を採用し Java EE の使用のいくつかの部分を実際に使用している。Sean 氏は ESPN は誰でもどんな時にもスポーツニュースを提供するために様々なデバイスをサポートしなければならないが、その際に JAX-RS と CDI を使用し簡単に実現したと述べた。またクラウド環境で使うためにより簡単な作業で作業効率があがるとも述べました。
最後に Adam Messinger が壇上に戻ってき、Cameron と共に Project Avatar と呼ばれる
新しいプロジェクトについて語りました。HTML 5の登場により Web システムはクライアント/サーバ型のアーキテクチャに向かうとし、デスクトップのブラウザから、モバイル機器のブラウザまでクロスプラットフォームの問題がまた再燃する可能性がある事が予想されます。これらを解決するために Project Avatar では動的なリッチクライアントのソリューションを提供します。
※ Project Avatar についてはまだまだ情報が少ないのですが、今後情報が入り次第
追って報告します。
本日アナウンスされた内容のまとめ
● Java SE 7 の Mac OS X 対応
● Java SE 8 のロードマップ紹介 (2013 年夏頃 ※ 2012 年 冬リリース予定が変更)
● JavaFX Windows, Mac OS X, Linux, 組み込み環境
● JavaFX のオープンソース化と標準化 (Java SE 8 以降)
● Java EE 7 クラウド対応
● Project Avatar Java 用の HTML 5 統合
その他
● Twitter 社の OpenJDK, JCP の参加
● IBM OpenJDK 7 の提供開始
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1.
Hiroshi Koide (@hirosk) | 2011年10月5日 11:12 午後
まさにJavaOneらしいわくわくするキーノートだと思いました.